名店ガイド
Cuisine Française

LE TRISKEL

ル・トリスケル ( 広島市中区/フランス料理 )

料理は愛情。シンプルさの中に、
フランス料理の美学を盛り込む。

「鴨のロースト アンディーブのエチュベ添え ソースパイナップル」
ソースパイナップルと鴨との相性は抜群。生クリームで、マイルドになったパイナップルの甘味と酸味が鴨肉にからみつき、思わず食が進む。

オーナーシェフの勇崎元浩さんとは、『旬遊』創刊の企画書を片手に、何のアポも、誰の紹介もなしにふらっと立ち寄った私に、「広島でこんな雑誌を待っていたんですよ」と熱っぽく料理について語り、取材に快く応じてくれたのが縁となった。


そんな当時を振り返りながら、改めて創刊号を読み直してみたが、6年前に記事に書いたことが今も変わらず通用することに、少なからず驚いている。もちろん、変わらないというのは、進化していないという意味ではない。勇崎シェフは「料理に愛情を込めて」が口癖だが、つまりはその部分、料理への愛情や料理に向き合う姿勢が変わらないのだ。


情熱や想いを純なまでに持ち続けることは、言うは易しでなかなかできることではない。フランス料理という魔物に取り憑かれたシェフある。


「今は華やかさよりも、要らないものを引いていってよりシンプルに、そのなかで美しさを出せる料理を作りたいと思うようになりました」それに、何百年という歴史をもつフランス料理の基礎を大切にしていきたい。いくら見た目でごまかそうとしても、身につけた基礎以上の料理はできませんからね」


そして何度も「当たり前のことを当たり前に」という言葉が口をついて出た。
「例えば、きちんと自らフォン(出汁)をとる。当たり前のことを当たり前にやるというのはそういうことです」。近頃は偉大なグランシェフが残したクラシックな料理の原書を引っぱり出し、今風のアレンジを試みることも多くなったとのことだ。


「一皿入魂」...勇崎さんの一皿からは強烈なオーラがほとばしる。

春野菜と桜鯛のココット。ストーブ社製の鍋の中は桜鯛の上に春野菜とホタルイカがのり、彩りも鮮やか。鍋の蓋をとるまでのわくわく感と、とったときの驚きが楽しめる一品だ。

今や「ル・トリスケル」の定番メニューとなっている「温製のフォアグラのベニエ」(油で揚げたもの)。これは10年前の世界料理オリンピックでの日本チームの勝負の一品で銅賞に輝いたといういきさつをもつ。

フランス・ラカン産の仔鳩の燻製胸肉にオマール海老のジュレがけ。

情熱の料理人、勇崎元浩オーナーシェフ。

8人掛けの個室も用意されている。

幟町交番斜め前に立つビルの狭い階段をあがると、そこが「ル・トリスケル」

LE TRISKEL
【データ】

広島市中区幟町5-17-2F
電話/082-511-5031
営業/11時30分~14時、18時~22時(L.O.21時)
休日/日曜日、第1月曜日
メニュー例/ランチ2178円、4378円、夜コース5775円~※要予約


『旬遊』掲載号/vol.1vol.24
vol.7より「プロの手ほどき」連載中